ウイルスの不活化には、ウィルスの核酸、蛋白、エンベロープのいずれかが破壊される必要があります。
エタノール単味とエタノール+塩化ベンザルコニウムの違いですが、
インフルエンザウィルスに対し、揮発性エタノールと不揮発性塩化ベンザルコニウムの作用機序が違う2種類の薬剤を使用することにより、相乗効果(効果がより一層強くなること)と効果の持続性が単味より優位と思われます。エタノール単味だと乾いた時点で効果が消失します。
また、塩化ベンザルコニウムは正に荷電してるので、普通石けんよりも、負に荷電しているウイルスや細菌に集積しやすいこともあげられます。
アルコール単味製剤ですと、ひとつの動作ごとに消毒(一動作一消毒)が必要ですが、
ウエルパスですと、効力に一定の持続時間がありますので、オフィス・事務所などで長時間働いている方は、2〜3時間おきに手・指の消毒をおすすめします。
「医薬品」とは、
病気の予防や治療を目的に使われ、配合されている有効成分の効果が認められているもので、日本薬局方に記載されているものが医薬品になります。
「医薬部外品」とは、有効な成分はあるものの、効果は穏やかで治療には向かず、医薬品と違い、治療ではなく、予防や皮膚などを清潔に保つことが目的になります。
また、効果そのものも誰にでも必ず認められるというものではなく、効果が期待できるという範囲で、この作用の違いが、医薬品との大きな違いになります。
A、成分:ベンザルコニウム塩化物0.05w/v%、添加物としてエタノール、グリセリン、ミリスチン酸イソプロピルを含む。
B、成分表示がない
C、有効成分:エタノール(76.9〜81.4 vol%)
D、有効成分:アルコール
E、有効成分:アルコール(50%)
F、成分:塩化ベンザムコニウム、エタノール(59w/w%)
G、成分:グルコンサンクロルヘキシジンを0.1w/v%含有する無色のエタノール溶液
H、成分:塩化ベンザルコニウム、プロピレングリコール、グリセリン、エタノール(アルコール)
有効成分医薬品の半分以下が多い、含有量の表示がないのが目立ちます
A、成分:100mL中 ベンザルコニウム塩化物 (0.1g)
B、成分:100mL中 グルコン酸クロルヘキシジン0.2g
C、成分:100mL中 ベンザルコニウム塩化物 0.2g(0.2w/v%)
D、成分:塩化ベンザルコニウム 0.05w/v% (局)エタノール 72v/v%
調べてみるといろいろな成分の商品があります。
品薄状態が続いている状況下ではありますが、しっかりしたものを選択する必要があると思われます。
参考:消毒剤の 噴霧 は、不完全な消毒やウイルスの舞い上がり、消毒実施者の健康被害につながる危険性もあるため、実施すべきではない 。
in vitroの試験において、黄色ブドウ球菌(MRSAを含む)、大腸菌、セラチア、緑膿菌、シュードモナス・セパシアなどの各種細菌、アスペルギルスなどの真菌及び結核菌を15秒以内に殺菌します。エンテロウイルス70型、単純ヘルペスウイルス1型、ヒトロタウイルスなどのウイルスに対しては60秒以内に残存ウイルス力価を測定限界値以下にし、アデノウイルス8型に対しても30秒の反応で99%のウイルスが不活化されます。また、常用消毒剤に抵抗性を示す微生物にも有効です。0.2%グルコン酸クロルへキシジン水溶液、0.2%塩化ベンザルコニウム水溶液10分間以上でも殺菌されないシュ−ドモナス・セパシア、セラチア・マルセッセンスに対しても、ウエルパスは1分間以内で殺菌します。
平成15年度
厚生労働科学研究「医療施設における院内感染(病院感染)の防止について」に、「擦式消毒用アルコール製剤は15秒以内に乾燥しない程度の十分量(約3mL)を使用し、アルコールが完全に揮発するまで両手を擦り合せる必要がある」と記載されています。つまり、「ウエルパスの消毒時間が短い≒ウエルパスの使用量が少ない」と考えられます。
実際に、ウエルパスの使用量が少ないと、指先の除菌効果が低くばらつきが見られている報告がありますので、十分な効果を得るためにはウエルパス約3mLを手掌にとり、手掌の他に指先、指の間等にも乾燥するまで約30秒以上十分に擦り込むことが必要です。
ベンザルコニウム塩化物は陽イオン性界面活性剤の四級アンモニウム塩に属し、陰イオン性界面活性剤である石鹸と次の様に反応して沈殿を生じ、殺菌力が低下します。
新型インフルエンザウイルスの消毒剤抵抗性は通常のインフルエンザウイルスと同等と考えられます。
インフルエンザウイルスには消毒用エタノールやイソプロパノールのようなアルコール類、次亜塩素酸ナトリウム、ヨードホールなどのヨウ素系など、中水準以上の消毒剤が有効です。
低水準消毒剤では塩化ベンザルコニウムは有効とされていますが、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤は十分な効果は期待出来ません。
また、ウイルスの感染性は75℃・1分間の加熱によっても失われます。
厚生労働省からの「インフルエンザ(H5N1)に関するガイドライン−フェーズ3−」には、下表の消毒法が勧められています。
表.インフルエンザ(H5N1)ウイルスの消毒
器 材 | 80℃ 10分間の熱水消毒 0.05〜0.5W/V%(500〜5000ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清拭または30分間浸漬 2 W/V〜3.5W/W% グルタラールに30分間浸漬 0.55 W/V% フタラールに30分間浸漬 0.3 W/V% 過酢酸に10分間浸漬 70%イソプロパノールあるいは消毒用エタノールで清拭または浸漬 |
環 境 | 0.05〜0.5W/V%(500〜5000ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清拭 70%イソプロパノールあるいは消毒用エタノールで清拭 |
手指消毒 | 速乾性擦式消毒用アルコール製剤 |
(厚生労働省 新型インフルエンザ専門家会議:インフルエンザ(H5N1)に関するガイドライン)