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 子宮内膜にできる粘膜下筋腫、筋層の中にできる壁内筋腫、いちばん外側にできる漿膜下筋腫の3種あり、子宮の体部にできるものと、頚部にできるものとあります。
 
 不妊と関係ある筋腫は子宮体部にできて、粘膜下と壁内の筋腫です。筋腫ができるようなときは、ホルモンもアンバランスであり、子宮内の血液循環や新陳代謝も障害されていますから妊娠しにくいし、また子宮腔内の形もかわるので。妊娠しても胎児がうまく育たず、流産することもあります。
 
 
 
 子宮内膜の組織が、内膜以外のほかのところへ進入してはびこるのが内膜症で、子宮だけに限らずそのうちには、付属器にも直腸などのほかの臓器にも蔓延します。
 そうすると子宮は直腸と癒着して、癒着性の後屈となり、子宮と直腸との間(ダグラスか)で結節をふれ、これにふれると、圧痛があります。
 
 卵巣ははれて、チョコレート様の凝血のはいった、のう腫のことが多いのですが、月経時になると、もとは内膜の組織なので、腫れあがって出血を起こすため、下腹部痛、腰痛などのいわゆる月経困難症が非常に強いのです。
 
 ☆子宮線筋症
 
 子宮内膜症によって起こる疾患で、子宮内膜が子宮筋層内に生育しているために、生理の時期になると子宮筋層内で内膜がはがれて出血を起こすことになります。これが生理痛の原因になります。また、内膜部分の混在により筋層の肥大化を起こしますから、子宮全体の大きさも大きくなります。
 
 
 卵巣にできる腫瘍には、分泌物などがたまってできるプリプリした袋状のタイプ(嚢胞性)と、細胞が増殖した硬いコブのようなタイプがあります。卵巣のう腫は前者のタイプで、袋の中身によっていくつかに分類されています。
 
 髪の毛や歯、骨、皮膚などが含まれているのが、「類皮のう腫」(奇形腫)です。
 
 子宮内膜症が原因で起こる「チョコレートのう腫」は、子宮内膜の組織や血液がたまり、変色してチョコレート色になっています。このほか、卵巣の表面をおおう上皮から発生し、中にサラッとした液体がたまる「漿液性のう腫」、ゼラチンのようにドロドロした粘液がたまった「粘液性のう腫」などいろいろな種類があります。
 
 ☆多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
 
 卵巣に卵胞(卵の入った袋のようなもの)がたくさん出来るのですが、なかなか排卵できない病気で、どうしてそうなるのか、原因はよくわかっていませんが、内分泌異常、あるいは糖代謝の異常などが考えられています。
 
 肥満がある場合は、食事療法や運動療法で体重をコントロールすることが大切です。
 肥満がない場合や、なかなか肥満が改善しない場合、肥満が改善したがやはり排卵しないような場合は、排卵誘発剤を使用することになります。
 
 排卵誘発剤以外に、HMGという注射による排卵誘発、卵巣に小さな穴を開ける、体外受精などの治療法があります。
 
 
 ★甲状腺機能の異常
 甲状腺の機能が亢進したり、低下したすると、
 排卵障害や流産しやすいといわれています。
 
 漢方では肥満や甘い物の過剰な摂取が関わっているのではないかと考えられていますので、湿痰・湿熱やお血等が関係していると思われます。
 
 ★ストレスと月経不順
 
 | 子宮や卵巣の病気は
 以下の通り分類されます。
 
 (1)気滞型
 気滞が原因で体内の津液と血が凝血して、血の運行が悪くなるタイプです。
 
 (2)お血型
 原因として、微小循環障害及び血液流体力学的異常が考えられています。
 
 (3)痰湿型
 脾や腎の機能が失調すると、津液の循環・排泄がうまく行えなくなり余分な津液が、病理的産物を形成し、気血のめぐりを妨げるようになります。
 
 その他 血お気滞型、肝脾両虚型、陰虚火旺型があります。
 
 子宮筋腫には、破血薬(三稜、莪朮等)を使用します。
 
 ※三稜と莪朮
 活血の力は三稜の方が強く、理気の力は莪朮の方が強いので、血お消積には三稜を、行気止痛には莪朮を使用する。両者を併用すると、破血行気の効果が増強するので、子宮筋腫、腹腔内腫瘤・月経不順(無月経・月経痛)に効果がある。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 お血とは、
 
 中国医学において、鬱(うっ)血や血行障害など、血の流れの滞り、またはそれによって起きる様々な症状や疾病を指す言葉で、この前駆状態は血おと呼ばれる。
 
 
  
 糖尿病の薬であるメトフォルミンが排卵障害を改善することがわかってきています。
 糖尿病の薬は血糖を下げてインスリンの過剰な分泌を抑えるので、卵巣で男性ホルモンが抑えられ、卵巣内のホルモン環境が改善され、排卵しやすくなると考えられています。
 過剰なインスリンが悪さをしているタイプの多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の人に有効です。
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